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2012/02/07

退職後のボランティア

  2月5日(日)は地区一斉の海岸清掃でした。狩野川河口から西へ田子の浦港に至る、およそ10㎞に及ぶ海岸線は、千本松原と呼ばれ、日本100景、日本の白砂青松100選にも選ばれている名勝です。しかしながら、かつては藪に囲まれてうっそうとしていた千本松原も海岸線に防潮堤が築かれて以来、松枯れがおびただしく伐採せざるを得ない松も少なくない状況です。この松林の惨状を憂い、松林保全のためにボランティアに勤しんでおられる方々が数多くいらっしゃいます。
 千本松原は波打ち際から防潮堤までは100㍍近い砂利浜を従えていますが、台風時等の高波は防潮堤近くまで押し寄せてこの砂利浜にゴミを置いていきます。富士川(時として狩野川の物も)や近くの放水路の漂流物が流れ着くのですが、人間はこれ程ゴミを出しているのかと思うくらい、ビニールゴミにプラ容器、流木、紙類など、生活廃棄物が海岸線を覆っています。それを住民総出で拾うのが恒例の浜清掃です。何しろ広い。その広い砂利浜のゴミを拾うとなるとその広さが途方もなく感じられて、夏場などは勘弁して下さいと申し上げたいくらいです。
 ところが、どういうわけか今回の浜清掃では拾うべきゴミが見つかりません。ゴミ拾いならぬゴミ探しのような供役でした。
   聞くところによれば、30代の青年がボランティアでこの海岸線の美化活動に取り組まれているとか。(当然敬語です)「富士山が見える海岸がごみだらけでは」というのが、この名前も知らぬ青年の動機のようですが、当然無給です。頭が下がります。頭が下がると同時に青年をこのようなボランティアに駆り立てているのは何か?と考えざるをえません。

  阪神淡路大震災ではボランティア参加者数は1日2万人超。3か月で延べ117万人とも言われました。平成7年がボランティア元年と言われるゆえんです。余談めきますが、阪神淡路大震災と東日本大震災との111日経過時点での双方のボランティア数を比較した珍しい統計があります。阪神淡路では総計1,193,700人、1日平均10,756人。東日本大震災は499,300人で1日あたり4,498人となっていて、阪神淡路大震災に比すと3.11は桁外れにボランティア数が少なくなっています。そうは言っても週末に参加者数が一挙に増える傾向があるのですから決してボランティア熱が冷めたわけではないでしょう。今なお続く余震。福島原発の放射能の影響。近隣から支援にいくどころか被害が広大で甚大すぎてボランティアの入りようがないというのが実情でしょう。ボランティア熱の高まりに陰りなし、こう申し上げていいと思います。
 千本松原の保全活動にも地元の有志が複数の団体を作ってたずさわっていますが、枯れ松伐採、下刈り、ゴミ拾い等々、機材を持ち込み黙々と作業に打ち込んでいます。もちろん無償のボランティアです。
 このようなボランティア活動に現役を終えた退職組が取り組むのは心情的には共感を覚えます。齢を重ねるほどに価値観の重きは「心」に移っていきます。一線を退き、職縁社会とも遠くなっていくと社会有為な存在として自分の生き場所を見つけはじめます。ボランティアを通した仲間とのつながりもボランティアに走らせる一つの要因でしょう。そう分析すると人間というのは本当に社会的な生き物であり心をよすがにする生き物だと思わざるをえません。
 青少年犯罪の要因の第1位は1960年代までは経済的理由。1970年代以降は存在感の喪失だそうです。子どもたちに潜む寂寥感、孤独感は、その後の人生に深く影を落とします。必死になって自分のより所を求めて生きる。この青年を浜清掃に駆り立てている背後にはそんな来し方がもたらす存在感の喪失があるのではないか。私はそんな風に感じ取っています。退職組のボランティアも同じ心持ちです。
 私にしても現役を退いた今は現役と変わらぬ職務といっても日給にして約6000円。時給にすれば手取り730円程です。現役時代は1日約2万円超の給与。講演しても講演料なしですから時給の730円がいわば講演料です。それでも働いています。収入に拘泥なし。考えてみれば仕事というよりボランティアと申し上げた方がいいでしょう。加えて地域の役職依頼もついて回るのですから、61歳はやはり現役とは違います。
 日本人は不思議です。45歳ナイスリタイアが理想、その後は貯めたお金で世界を回りたいとナイスブリティッシュは夢を語っていました。ずいぶんと感覚が違います。必死に世間に縁(よすが)を求めて生きていこうとするのが日本人で、それは欧米人の理解を超えているでしょう。その欧米人の価値観にも時代の変化が生まれています。

 Muenchen で出会ったecoproject、MobilSpiel の若き活動家、Steffi Vreuzinger は、こう語りました。

 「人々の関心は満足した生活を求めることから心の問題に移ってきている。豊かさとは、精神的な充足感に包まれていることだ。」

 分かりますなあ。家に居たって退職組は殆ど爺・婆の2人ですから。でも、30代青年とリタイア組とが同じような心境になっているところに世相があると思いますがいかがでしょうか?

追 若者のボランティア参加は大歓迎です。でも気になります。JICA青年海外協力隊への参加が激減しているのだそうです。どうしてでしょう?

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コメント

追伸:やりがいのある仕事がしたいと思ってます。何かいいのないかな~。ボランティア?

千本松原、懐かしいです。井上靖の碑を見に行ったことがあります。若山牧水もありましたっけ。井上靖の『しろばんば』からはじまる三部作が大好きで、『夏草冬涛』は沼津の学生全員に読んでほしいです。
老後に備えて、三味線を習おうかと思案中です。

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