和服姿でオンリーワン
あけましておめでとうございます。本当はこう書いていいか分かりません。昨年母がなくなって喪中。新年のご挨拶ご遠慮申し上げます。控えさせていただきますというべきでしょう。それでも、除夜の鐘とともに近所の浅間神社に初詣に甘酒を勧められて口中難ありで、次いで伺った菩提寺では、つみれ汁にお酒、さてさて、何のための初詣やら?夜が明けて、恒例の三嶋大社詣でに。神仏加護の祈願のまるで「はしご」ですね。三嶋大社へは、和服に着替えて、身を正し。ところが、JR三島駅から大社まで私はオンリーワン。境内に入っても和服は見えず。あのごちゃごちゃと混み合った参拝者の中で、私は和服オンリーワンを演じ、衆目を集めていたのでした。結局、三島駅に帰りつくまでに見かけた和服男性は3人。女性は4人。合計7名。おそらく5000人はくだらなかったでしょうから、その中のたった7名。もう少し観察を厳しくすると女性スカートも皆無に近く、同様にスーツ姿の男性もいません。今から20年ほど前はこうではなかったというのが感想です。和服ならずともネクタイにスーツだったり、女性もまたそれに近い出で立ちで現れました。それが、この変化。
さて、どうして?
今年、見受けた他2名も含めて年の頃は50歳後半以上。かつては、若者に和服姿が見られ、それもカップルというのが珍しくなかったのですが、今や晴れ着ではなく普段着で、それも不思議と一様です。ユニクロファッションとでもいいましょうか?神様もずいぶんとフレンドリーになりました。でもね、ファッションの色は黒、灰色、紺、茶が基調でドブネズミ色です。景気を反映しているのでしょうか?
私がなぜ、和服かと言えば、それは正月だからで、せめて1年に1度は和服で衣を正しという心持ちが働くからです。かつての日本には折口信夫らが指摘するハレとケの文化がありました。晴れ着、祝い膳ですね。そういう季節の節が生活の中から消えて、熱帯気候のような衣食住です。節々が生活から消えています。節は強くしますが、節のない脆弱さは我が国の姿のようなものです。
どうして和服が消えていくか?①レンタルが一般化している。正月にわざわざレンタルまでして和服を着るものはいない。それに成人式まで近い。②高価。いつの間にか和服は高価になって、足袋から襦袢、帯、雪駄または下駄、その他一式そろえると万の桁が二桁に上る。ちょっと生地にこったら、それこそ目が飛び出てしまう。しかも着る機会は一年に1度か2度。買って着るわけがありません。③面倒。本来は、これほど便利な衣装はありません。基本的に体を布で包んで紐(帯)で縛っておくだけのものです。しかしながら、その着こなしや縛り方に結構知恵を絞りますから、一人で着こなす人が殆どいなくなりました。それで着付け。屋が繁盛。だいたいが衣装を身にまとうのにお金払って誰かに着せてもらうようなものが広まる訳がありません。さらにちょっと汚れたら、染み抜きや洗いに出します。ワイシャツを洗濯屋に出すのとは訳が違います。これも万のお金です。廃れるべくして廃れる。当然の帰結ですね。でもね.着物という衣の文化は我が国の伝統文化であり.心です。普段は洋服でも、1年に1度くらいは…。そう「節」ですね。生活の中にハレという節があることで、己に帰るのです。居住まいを正す。今や死語になっている、この心がどこかに生きている世の中でありたいと思います。
本当はもう一つ私が和服を身にまとう理由があるんです。綾小路きみまろの爆笑スーパーライブに「最後に見たものは」というのがあるのですけれど、中高年はいつ何どき何があるか分かりませんから、今年和服が着られたとしても来年はどうか分かりません。そう思うと、1年に1度和服を着られる幸せを感じるのです。もちろんです。しっかり写真に納めました。ひょっとするとこの写真、どこかで使われるかもしれませんね。元旦早々失礼しました。
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初詣は、鶴岡八幡宮に行ってきました。はずかしながら、先生のおっしゃるユニクロファッションで。きものは着たいと思うのですが、きもの業界が恐いです。着付け教室に通ったら、高い帯や着物を買わされそうになりました。着物屋さんに着物を見に行けば、買うまで返してもらえません。これでは、着物は衰退してゆくばかりだと思います。
投稿: 伊藤雪絵 | 2012/01/04 午後 09時54分